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日本の医療の現状と予防医療推進の必要性

今後、日本の医療はどのように進むべきなのでしょう。日本の医療の現状を踏まえながら、考えてみました。

 上の図は、2022年の日本人の平均寿命と健康寿命の差を表したものです。
健康寿命とは、日常的に介護を必要としないで、自立した生活ができる生存期間を示す言葉です。
日本は世界一位の長寿国で、平均寿命は非常に長いですが、健康寿命はそうではありません。
健康寿命は、男性は72.68歳、女性は75.38歳となっており、平均寿命と健康寿命の差が非常に大きいのが日本の特徴です。つまりこの差が日本人の寝たきり年数となります。女性の場合は約12年、つまり死ぬ前の10年以上を人の手を煩わせないと生きることができない人がたくさんいるのです。
日本の医療は非常に優れていると言われております。
日本は医療設備も非常に整っており、CTやMRIの人口当たりの設置率は世界一です。それに加え、勤勉なドクターも非常に多く、国民皆保険制度も整っています。
優れた医療にもかかわらず、寝たきり年数が長いという残念な結果に終わってしまっているのはなぜでしょう。
また現状改善の予想が出てきていないのはなぜでしょう。
国民の多くがこのような疑問を全く持っていないことも、問題の一つだと考えます。
そして、この現状を冷静に判断する必要があるのではないかと思っています。

こちらは日本人の死亡原因と要介護となる原因を表した図です。

 平均寿命と健康寿命の差を大きくしてしまう要因は二つあると考えます。
1つは、要介護の原因になる病気を発病し、人の手を煩わせてしまうパターンです。
健康マイスター養成講座でも取り上げていますが、死亡原因の第1位が悪性新生物(ガン)です。第2位が心疾患、第3位が老衰で、老衰はたったの10%、10人に1人しか老衰で亡くなっていない現状があります。つまり他の90%は病気で闘病しながら亡くなっているという事です。死亡原因の第4位が脳血管疾患で、2位の心疾患と血管の病気ということでまとめると、だいたいガンと同じくらいの割合となっています。
つまり、ガンと血管の病気で死亡原因の約半数を占めるという事が分かります。
要介護となる原因の方は、第1位が認知症です。第2位は死亡原因にもありました脳血管疾患、第3位高齢による老弱、4位、5位は特徴的で骨折、転倒、関節疾患といった整形外科的な病気となっています。
死亡原因の上位と要介護となる原因の上位をよく比べて見てください。
実は、これらの多くは予防できる病気です。
予防できる病気にもかかわらず、予防せずに病気になってから慌てて治療しているという現状があります。
それが日本人の平均寿命と健康寿命の差を大きくしてしまっている要因の一つと考えます。

 そしてもう一つ要因は医者の役割です。
日本の医者の多くは海外ではM.D.(メディカルドクター)と呼ばれています。メディカルドクターは、病気になった人を治療する役割を果たし、日本の医者は、99.9%がM.D.となっています。
アメリカではM.D.以外に、D.O.、D.C.、N.D.と呼ばれているドクターがいます。
D.O. ドクターオブオステオパシー
D.C. ドクターオブカイロプラクティック
N.D. ナチュロパシックドクター
アメリカの場合、M.D.以外のドクターは、全体の2割ぐらいいて、増加傾向にあります。

 上の図の中で、M.D.は、黒(病気)になった人を白(健康)の方へ戻す役割を果たし、D.O.、D.C.、N.D.は、白から黒へ向かう途中の人を白の側から引っ張り戻すような役割を果たしています。
日本では、D.O. D.C. N.D.は、0.1%もいないと言われています。
実は健康マイスター協会では、白の側から仕事をするドクターを増やしていこうと考えています。

 さて、上の図のグレーの中にいる人の状態はそれぞれのドクターによって見え方が違います。
M.D.から見ると、グレーの中にいる人は、黒じゃないのでまだ大丈夫だと考えます。黒以外はまだ病気ではないからです。
一方、D.O. D.C. N.D.からはどう見えるかと言うと、グレーの中でも白に向かっている人ならいいのですが、黒に向かっている人には、すぐに対応が必要だと考えます。このまま行くと黒(病気)になるので、白(健康)に戻すための治療を始めます。
白に戻す役割のドクターがアメリカでは日本よりもずっと多くいることが、おそらく平均寿命と健康寿命の差に影響を与えているのではないかと考えます。

このグラフは、日米のガンによる死亡者数の推移です。

 日本の死亡者数は右肩上がりで増えているのに対し、アメリカでは、1990年ぐらいをピークにガンで亡くなる人は減りはじめており、その傾向は今も続いています。
日本では、ガンを宣告されると死につながるイメージがありますが、アメリカではそうではなく、ガンは治すものとして治療に積極的に取り組む姿勢が見られます。
日本のドクターのほとんどがM.D.で、D.O.、D.C.、N.D.が少ないという現状から、この結果の違いが出てきているのではないかと考えます。

上の図は、寝たきりになる主な原因となる病気について、その発症のもととなる状態を表したものです。

 ガンという病気になる原因の一つに炎症体質やミドコンドリア活性低下などがあります。
何の自覚症状もなく放置されてしまうことが多いですが、放置したまま5年10年と経ち、ガンが見つかると慌てて治療するということが、日本では多くあります。
心筋梗塞や脳梗塞や脳出血も動脈硬化がベースにあります。動脈硬化自体は、自覚症状はありません。気づかずに放置をしてしまい、心臓の血管が詰まると心筋梗塞となり、脳の血管が詰まるとば脳梗塞、脳の血管が破れると脳出血という取り返しのつかない病気の原因になります。
骨折や転倒などの関節疾患のもとになるロコモやフレイルという状態は筋肉量の低下が原因です。これも初期には自覚症状はありません。自分の筋肉が衰えていることに気づかず放置してしまい、ある時ロコモ、フレイルになって転倒、骨折、関節疾患に陥り、自由に動くことができなくなります。
最近とても増えているメンタル不調については、例えばうつ病は、タンパク質不足、ビタミン不足、ミネラル不足という栄養素の問題や、運動不足も発症の一端を担います。それを放置していると、うつ病という病気で見つかることがあります。
平均寿命と健康寿命の差を短くするには、病気を診断するのではなくて、その原因になる、まだ自覚症状のない状態を早めにスクリーニングすることで、その状態に対応しながら、黒へ向かう人を減らしていくことが大切なのではないかと考えています。

健康マイスター協会では、病気と診断される前の段階で、気になる状態をスクリーニングし、ケアし、病気になることを防ぐことに力を入れています。
グレーの薄い段階では、何の自覚症状もありませんので気付きにくいのですが、健康診断の結果を利用してわかることも多くあります。
例えば、炎症体質に陥ってないか、ミトコンドリア活性が落ちてないかも健康診断の血液検査の結果でわかります。もっと簡単な方法では、実測式の体温計を利用し、体温を測定することでもわかります。
動脈硬化に関しては、血圧測定でわかります。
筋肉量低下は片足立ち上がりテストや指輪っかテストなど簡単な動作テストでわかりますし、家庭用の体組成計を使えば筋肉が落ちてきているのはわかりますし、握力を調べれば全身の筋肉の機能が低下しているかどうか予測がつきます。
メンタル不調の原因となる栄養失調も健康診断の血液検査の結果を見れば分かります。最近は、自律神経バランスを簡単に調べることができるスマホアプリもあります。

 ちょっとした意識さえあれば、毎年受けている健康診断も、病気の診断に使うだけではなく、病気に向かっていく兆候が出ていないかどうかを調べることができ、初期スクリーニングができるのです。

 気になる状態を早めにスクリーニングして、分かった時点で黒に向かわないようにケアをしてあげるのが、健康マイスター協会が目指しているところです。病気になる前のケアですので、医療系の資格は不要で一般の方でもできます。

この考えを広めていくことで、5年先10年先、平均寿命と健康寿命の差が短くなってきたというような結果が出てくることを期待しています。

参考資料 
厚生労働省 健康寿命の令和4年値について.(2025-03-05アクセス)
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001363069.pdf
厚生労働省 2019年国民生活基盤調査 第15表 現在の要介護度別にみた介護が必要となった主な原因の構成割合. (単位:%).(2025-03-05アクセス) https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa19/dl/14.pdf
厚生労働省 人口動態統計(2025-03-05アクセス) https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai23/index.html

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